仮想と現実の真ん中あたり

主に舞台探訪とか聖地巡礼と呼ばれる記録をつづるブログ

「青い花」 第4巻

青い花 4巻 (F×COMICS)

青い花 4巻 (F×COMICS)



志村貴子先生の描く“ガール・ミーツ・ガール”ストーリーも第4巻。第3巻までで波乱のあった杉本先輩が卒業し、ふみとあーちゃんの高校2年生の春が始まります。


ジャンルとしては「百合モノ」ということになりますが、その見方だけに囚われると、この作品を一面的にしか読み解けないと思います。
純情で一途なキャラたちの想いが、学校生活の中での出来事を通して、ふれあい,様々に形を変えながら綴られていく、そのうつろいゆく想いの描写こそが、この作品の本質なのだと思います。例えるなら、それはキラキラとした雲母が積み重なりながら複雑な横縞模様を描いて行くさまに似ています。
その、さざなみがぶつかり合いながら、刻一刻と模様を変えていくさまを描くような物語、その形容を成り立たせるためにこそ、思春期の少女達だけで物語を構成する必要があった。そして、その想いの形の一つとして、「百合」の関係が導入された、と思えるのです。


その見方をふまえると、やはり物語の中心となるのは、ふみなんでしょうね。
ふみはことさら感受性が強くて繊細で、感情が顔の表情に出やすい女の子です。読者はふみの表情を追って行くうちに、自然に物語に入り込んで行くことが出来ます。
この第4巻も、そんなふみの感受性豊かな表情が堪能出来る、素敵な一冊なのでありました。