仮想と現実の真ん中あたり

主に舞台探訪とか聖地巡礼と呼ばれる記録をつづるブログ

「花よりも花の如く」 第7巻

花よりも花の如く 第7巻 (花とゆめCOMICS)

花よりも花の如く 第7巻 (花とゆめCOMICS)



主人公の憲人がTVドラマに初挑戦。前巻で登場した葉月との関係の進展は…? という点が真っ先に気になるところですが、今回はTVドラマ=劇中劇がメインという予想外の展開。
この作品、第1巻からずっと読んでるんですが、能”という芸能の世界を中心に展開される世界観,価値観が良いんですよ。
プレーンな性格の憲人が、芸の高みを目指して真剣に打ち込む姿は、とても清々しく見えます。


現代は、資本主義社会なわけで、何事もお金に換算出来るものだから、ともすれば「結果が同じなら楽な方が良い」「効率が良い方が良い」と結果から逆算して物事を考えがちです。しかし、結果だけを求めるなら、その時々効率の良い方に求める物が変わるわけで、その極端な例がハイリターンの金融商品に飛びついて起きた金融危機であるわけです。
それは資本主義の側面として不回避ではありますが、一方でそういった結果追求だけの生き方に人が感動する,あるいは心に残るかというと、そんな事は無いでしょう。


一方で、憲人は時には悩み、そして迷いながら、芸の世界の高みを目指して努力を重ねて行きます。現代人が見失いがちな、そんな憲人の一途で真剣な生き方にこそ、人は感動し、また心に残ると思うのです。
ちょっと話は飛びますが、『求道』という点では同じテーマと言ってもいい、楠みちはる先生の「湾岸ミッドナイト」というマンガのセリフに、

 僕の911は見るほどに細部まで手抜きがないんですよ
 人の手による妥協のない仕上がり 「確か」さがラフな扱いをさせない‥


 そのコトでどれほど僕の走りが救われたか


 軽ければいい パワーがあればいい じゃないんですね。
 雑なクルマは 雑な走り方 雑な生き方に必ずなってゆく
 教えられました‥
 (「湾岸ミッドナイト」Vol.39)



というがあるのですが、雑な生き方を選ばない、真剣な姿勢こそが、結局は自分、そしていつかは他人をも救っていく、そんなふうに思う今日この頃です。


…さて、ところで、今回の劇中劇の「石に願いを」ですが。(以前にも「掠奪された1人の花嫁」というタイトルがありましたが、映画ファンの成田美名子先生らしいタイトルですね)
京都を舞台にした背景が多数登場していて、





「これは現地取材してる!」と思ったら、巻末にしっかり取材マップが載ってました(笑)





おお、京都! 宇治! 京アニ!!<それかい
これはぜひとも舞台探訪に行かねばならないでしょう。
今年は予定が押してるので、来年度かな〜? とにかく、いつか絶対に行きたいです。