仮想と現実の真ん中あたり

主に舞台探訪とか聖地巡礼と呼ばれる記録をつづるブログ

「咲-Saki-」第191局、絆を結ぶ甲斐駒ヶ岳

 「咲-Saki-」第191局[天和]にて、優希の回想シーン中に衣が甲斐駒ヶ岳を望む場面が登場します。
 

第191局(YG '18 No.13 P382)原村から望む甲斐駒ヶ岳

 
 コアな咲-Saki-ファンの間では、『衣が通う龍門渕高校は長野県安曇野市周辺』,『清澄高校は長野県原村・茅野市・富士見町周辺と上伊那の七久保駅周辺』という舞台地設定が知られています。
 そのため、衣が清澄エリアにある甲斐駒ヶ岳を見上げているというカットは、ちょっと疑問に思えるかもしれませんね。
 けれども、優希の回想シーンに衣が甲斐駒ヶ岳を見上げるカットが登場するというのは、なかなか意味深なのです。
 その理由は、続きで。
 

 
 第191局に登場した甲斐駒ヶ岳ですが、実は、県予選会中に衣の背景カットに甲斐駒ヶ岳が登場するシーンが1つだけあります。
 それは…、
 

第37局(第5巻 P79)原村から望む甲斐駒ヶ岳

 
 第37局に登場する↑これ。咲が嶺上開花を2連続で上がったのに続いて、衣が海底撈月を2連続で上がるのを見て部長が評するシーン。激闘の予選会中での一場面です。
 衣が見上げるのが安曇野付近の山であれば、単に地元の山を見上げているというだけですが、甲斐駒ヶ岳であれば咲との頂上決戦を思い出している、という意味を暗示させます。背景として安曇野の山でなく甲斐駒ヶ岳が選ばれた理由の一つはこれに違いない、と思う管理人です。

 ちなみに、第37局の山のシルエットに関しては、以前に管理人は「長野県でこんな変な形の山と言えば、八ヶ岳です」と断言した記事↓を書いたことがあり、  
 uso9000.hatenablog.com    
 甲斐駒ヶ岳の間違いだったと気づいた後で、原村在住のペンションオーナーの「森のくまさん」氏からも「あれは甲斐駒ですよね?」とツッコミを受けて穴があったら入りたくなったという…。
 
それはさておき。
そして、甲斐駒ヶ岳が登場するもう一つの理由ですが、それは和と優希が通っていた高遠原中学にあります。
例えば…、
 

第159局(第16巻 P77)原村から望む甲斐駒ヶ岳

 
 ↑は、すばら先輩との会話中に、和と優希が高遠原中学時代のエピソードを思い出して、新道寺に行ったすばら先輩に同い年の友達が出来た事を察するシーン。
 そして、和が高遠原中学に転校した際のエピソード、その名も「番外編 高遠原」では…、
 

番外編 高遠原(第9巻 P195)富士見町から望む甲斐駒ヶ岳

 
 甲斐駒ヶ岳のカットでエンディングを迎えます。
 高遠原中学の最寄り駅は、今回の第191局扉絵↓にも描かれているように長野県上伊那郡飯島町高遠原駅らしいのですが、どうやら背景設定のモチーフは、甲斐駒ヶ岳を望む清澄エリアの南側、原村・富士見町のあたりにあるようです。
 

第191局扉絵(YG '18 No.13 P382)高遠原駅横の矢の沢踏切

 
 さて、ここまで読み解いて来ると、優希の回想シーンの中に衣が甲斐駒ヶ岳を見上げているカットが登場する理由が見えてくると思います。
 甲斐駒ヶ岳は、優希の出身校である高遠原中学の背景設定モチーフでもあり、そして、衣との県予選での激闘の記憶でもあります。衣と優希を結ぶ絆を暗示するものとして、回想シーンの背景として描かれるにふさわしい山ではないでしょうか。
 
 maps.google.com  

 本記事内の「咲-Saki-」の画像の著作権小林立先生にあり、ここでは当該作品の研究を目的として引用しています。