仮想と現実の真ん中あたり

主に舞台探訪とか聖地巡礼と呼ばれる記録をつづるブログ

青森紀行 津軽編(『CLANNAD』&『雲のむこう、約束の場所』舞台探訪 )

 青森探訪2日目前半。
 昨日の下北半島から一転して、今回は津軽半島を回ります。

  初日目:下北半島編はこちら→青森紀行 下北半島編(『咲-Saki-』&『CLANNAD』舞台探訪 )

 舞台探訪者の心得
 ・舞台を荒らさないこと。 ・住民に迷惑をかけないこと。 ・舞台での行動は慎重に。


 「ごらんあれが竜飛岬北のはずれと」
 とは、ある年代以上にはおなじみの演歌『津軽海峡冬景色』。
 ところが、実は本州最北の地は下北半島の大間崎で、昨日行ったむつ市大畑町ですら竜飛崎より北なのだった。
 なぜ竜飛崎が「北のはずれ」で、『CLANNAD』の登場回のタイトルでも『大地の果て』となっているのでしょうか?
 想像するしかないのですが、太宰治の『津軽』の一節にこうあります。

ここは、本州の極地である。この部落を過ぎて路は無い。あとは海にころげ落ちるばかりだ。路が全く絶えてゐるのである。ここは、本州の袋小路だ。読者も銘肌せよ。諸君が北に向つて歩いてゐる時、その路をどこまでも、さかのぼり、さかのぼり行けば、必ずこの外ヶ浜街道に到り、路がいよいよ狭くなり、さらにさかのぼれば、すぽりとこの鶏小舎に似た不思議な世界に落ち込み、そこに於いて諸君の路は全く尽きるのである。
(引用元:太宰治 津軽 - 青空文庫

 この文豪が書き残した名文が、その後の日本人の「竜飛崎=本州の北のはずれ」感を形成したのではないでしょうか?
 「いやいや、太宰治なんて普段目にしないでしょ?」という向きには、以前に管理人が読んだ水原賢治先生の短編『Silent Lover』の一コマを紹介しておきましょう。

『Silent Lover』(コミック『日曜日に彼女は』収録)

 文学の遺産は、形を変えてサブカルチャーをも豊かにしているのです。

 本記事内の『日曜日に彼女は』画像の著作権は水木賢治先生にあり、ここでは検証を目的として引用しています。


雲のむこう、約束の場所』(青森県外ヶ浜町 JR蟹田駅,竜飛岬)

 左手に北海道新幹線、右手に津軽線を見ながら北上。
 途中、道のあちこちに防雪柵が。西側に山が無くて風をさえぎるものが無い平野なので、たしかに柵が役に立ちそう。

 竜飛崎へ行く途中で立ち寄ったのは、JR蟹田駅
 ここは、新海誠監督のアニメ映画『雲のむこう、約束の場所』に登場した学校の最寄り駅の舞台。
 資料がないので、探訪者の方々のWebサイトを参考に写真を取りまくる。先駆者の皆様に感謝!

JR蟹田駅(以下同じ)

 さすがに公開から16年も経つと景色も変っていて、↑は原作には無かったホーム手前の屋根が増えています。

https://lh3.googleusercontent.com/pw/ACtC-3d6068wuN3fuQW9fQhvBjcsc14cfsbE0g56pY_xnv_ZQPZ8EYhUlYSPpufLhx49xgLnyBHSDWOluiwncSfeaaZMeBaA64w2QvK5mtXh2ftmG-Cabk6Ei1TwxmnOrCloIBSBGgXgECFadkhz2SV9jPiF=w400-h267-no?authuser=0

(左右反転)

https://lh3.googleusercontent.com/pw/ACtC-3eGBVeFXMsSmxR5PeN7ZIt48d2wOxCdj-lgug2JHO0S_SGEoDYw4k_Njefq-euVUUEE-K8tKeKLqv3ZtTlxlt7FzNwy0dPhYJkY7Q2p_Vlzg5gpoi5E4UtiuwrCJfM9godUHnS2A7dJ_GuqWgddd702=w400-h267-no?authuser=0

JR蟹田駅付近 桜町踏切

 そして時間前後して、同じく『雲のむこう、約束の場所』の後半に登場した竜飛岬の階段国道

青森県外ヶ浜町 竜飛崎 R339

 ところで、蟹田駅があるのは外ヶ浜町。竜飛崎も外ヶ浜町外ヶ浜町ってそんなに大きいの? と思ったら、なんと間に今別町をはさんだ、飛び地自治体なんですね。びっくりです。

https://lh3.googleusercontent.com/pw/ACtC-3fpMzQIGjiLbpzvLQwm4izgH4FHDpKknDTwZMeloxKKCMhATu3XDQdt5pSeYN1smeffP7Hyu_mTws6QkiBTzFZLFJzdv8y5hDBWU5I53NdAhU8nPkGApxxjSovZ5OZIOHw08LLhXASZ-G8f9hyHT5Cp=w520-h468-no?authuser=0

 なお、今回の『雲のむこう、約束の場所』の取材にあたっては、下記のサイトを参考にさせていただきました。ありがとうございました!
 アストラルのつれづれ旅日記(雲のむこう、約束の場所 舞台探訪(聖地巡礼))

CLANNAD ~AFTER STORY~』(青森県外ヶ浜町 竜飛崎)

 『CLANNAD』舞台探訪の第一人者である準急鷲羽さんから、
 「スーパー白鳥が通るシーンの場所を見つけて撮ったんですけどね。来た車両が逆方向だったもんで、1時間待って作中と同じ構図を撮ったんですよ。」
 という苦労話を聞いたことがあったので、その苦労をしのぼうということで、蟹田駅から竜飛崎に向かう途中にそれらしい場所で撮影。

青森県外ヶ浜町 蟹田山本前田付近
CLANNAD ~AFTER STORY~』第18回

 …鷲羽さん、正直、どこだか良く分かりません。
 (おまけに、後日この写真を見せたら「ちょっと場所違いますね」と言われてしまった。よくこの背景で分かりますね?)

 そして、ついに竜飛崎へ。
 アニメ版『CLANNAD ~AFTER STORY~』の第18回『大地の果て』にて、菜の花畑(モデル地:横浜町)で汐と遊んでいた朋也が、記憶に導かれるようにして歩いて(モデル地的にはワープ)、祖母の史乃に巡り会う場所ですね。

CLANNAD ~AFTER STORY~』第18回
CLANNAD ~AFTER STORY~』第18回
CLANNAD ~AFTER STORY~』第18回
CLANNAD ~AFTER STORY~』第18回
CLANNAD ~AFTER STORY~』第18回

 押しも押されぬ観光地なので、コロナの影響で海外からの観光客がいないとはいえ、人が入らないカットを撮るのは至難の業。探訪者の皆さんがサイトに無人のカットを上げておられますが、あれはかなりの根気が必要だったと思います。

https://lh3.googleusercontent.com/pw/ACtC-3dg2SSG9p4huP6BV-Km6hUsvtsfXLgMezwoLy78BM7zhxKUD65Std0TmK9bq_psk7jPBwC6M9FcfOpmB4pPmFPFAoQo_cNlverkfLEeGsYsLvRpZupc93ZCyWv1cnYjePSTqxyufridjF_fjx-Pu5ax=w520-h347-no?authuser=0

 津軽海峡は日本の海の難所の一つだそうで、見た感じでも潮の流れが早いです。
 昔は、海峡が狭まった一見近いところを渡ろうとして失敗していたそうですが、江戸時代に海商の高田屋嘉兵衛が潮の流れを見きわめて、あえて広いところを渡って成功した、とは司馬遼太郎先生の著書『菜の花の沖』から。
 偶然にも、『CLANNAD』で朋也が菜の花畑(モデルは横浜町)から歩いてたどり着くのが、この竜飛崎と津軽海峡なわけで、意外な「菜の花」つながりなのでした。

 以上、11年目にしてようやく訪れることが出来た、『CLANNAD』竜飛崎探訪記でした。
 この後、竜飛崎を南下して成田美名子先生のコミック『NATURAL』探訪に移るのですが、それはまた次回。

 なお、『CLANNAD ~AFTER STORY~』の取材にあたっては、下記のサイトを参考にさせていただきました。ありがとうございました!
 お箸が重いCLANNAD AFTER STORY

 本記事内の『CLANNAD ~AFTER STORY~』画像の著作権はVisualArt's/Key/光坂高校演劇部にあり、ここでは当該作品の比較研究を目的として引用しています。