仮想と現実の真ん中あたり

主に舞台探訪とか聖地巡礼と呼ばれる記録をつづるブログ

舞台探訪文化とその担い手について

■舞台探訪文化とその担い手について

このアニメがすごい!2008

このアニメがすごい!2008

「このアニメがすごい!2008」にて「らき☆すた」の舞台探訪(本誌中では「聖地探訪」)の様子が紹介されていてビックリ。舞台探訪がアニメ文化のメインストリームに登場するというのは感慨深いです。
さて、「舞台探訪」「聖地巡礼」「舞台訪問」「聖地探訪」etc.、作品の場所のモデルになった地を訪れる行為を指す言葉は色々ありますが、外部からはその実態が見えにくい事もあると思います。
そこで今日は、このアニメ文化の一ジャンルについて、発信者としての立場から言及したいと思います。


例えば「コミケに集まるオタク」と外部からはひとくくりにされて見られますが、内部に入ってみると、創作・発信者側と受け手側の大きく2つに別けて捉えることが出来ます(えてしてこの2つの立場は重なってもいますが)。
以下は、「舞台探訪」文化についても、この2つの担い手の立場に分けて考えた方が実態がわかりやすくなるのではないか? という提示です。


1.探索・現地取材・発信者側
たぶん実態はさらに、
 (1)探索・現地取材・発信派
 (2)主に現地取材・発信派
 (3)探索・現地取材のみ派
の3グループ程度に分けられると思います。
(1)は、いわゆる舞台探訪サイトの管理人グループなど。(2)は有名サイトが時々載せる舞台探訪記事等です。(3)はあると予想されますが、表に見えて来ないのでここでは触れません。
この1.のグループいないと、そもそも舞台が発見・紹介されない、ムーブメントの導火線に当たるグループです。


2.後追い訪問、現地散策側
1の情報を元に舞台を訪れ、特に外部に発信する事もなく自分達が楽しむ目的のグループです。
「舞台探訪」に何ら貢献していない? いえ、マスコミなど表に現れる「現地を訪れるファン」というのはほとんどがこの層ですし、「らき☆すた」や「おねてぃ」の場合でも、実際に地元民と交流し、地元に貢献する役割を担っているのはこのグループです。(1のグループは小数派ですし、人目につかないよう隠密に行動してますからw)
いわば、ムーブメントの火薬本体に当たるのがこのグループです。


情報の発信と受信に着目して、この上の2つグループに分けて見てみると、それぞれが「舞台探訪」文化をどのように担っているか、わかりやすいと思います。
ちなみに、こうして見ると、1-(1)のグループは「聖地巡礼者」というよりも「舞台探訪者」というのが妥当だと思います。なぜなら、彼らが行く時点では、未だ「聖地」になってない事が多いから(笑)


最後に、上記のような認識を踏まえた上で、特に「舞台探訪者」の偉業について触れて終わりたいと思います。
先日、「舞台探訪サミット」というイベントで舞台探訪者の方々とお会いしましたが、彼らの努力と情熱には本当に頭が下がる思いがしました。
彼らは、公式情報も無いアニメの背景について、インターネットや各種ツールを駆使して全国各地の中から舞台を特定し、現地を延々と探索して回り、そしてネットに取材記事をアップし発信し続ける、いわばその道の「鉄人」たちでした。
その努力は、イベントの席上での、お箸が重いの準急鷲羽さんの、「実は、『全国の公園のトイレ図鑑』が無いかと思ってるんですよ(「CLANNAD」の公園のモデル等を探すために)」という言葉に端的に表現されていると思いました。それは、もはや人智と体力と時間の限りを尽くした、血と汗(と涙?)の結晶=作品そのものです。
彼らは、それらを週末や深夜の限られた時間の中で、無償の作業にもかかわらず、作品への愛と情熱だけを糧に成し遂げているのです。


もしも皆さんがこの先、そんな舞台探訪者のサイト(特に1作品を網羅した探訪記)を見る機会があればぜひ、そんな労力の末に世に出された「作品」なのだという目で見てあげて下さい。
当管理人も、そんな舞台探訪者にエールを送り続けたいと思います。