明けましておめでとうございます。
本年もマイペースでボチボチ更新して行こうと思いますので、よろしくお願いいたします。
さて、早速ですが、Twitter APIで収集した、2020年秋シーズン(2020年10~12月)の探訪関連ツイートデータ分析です。(1シーズン分のデータがそろわないと記事に出来ないため、3ヶ月遅れの感はありますが…)
今期は、PVの段階から探訪に出かけるファンが出ていた『神様になった日』の動向が、一つの見どころと予想してました。
また、今回は分析手段も増やして、ツイート数だけでなくアカウント数,リツイート数の分析も試みました。
では、その結果を見てみましょう。
2020年秋シーズンの舞台探訪関連ツイートデータ
まずは、いつものように探訪関連ツイート数の動向を見てみましょう。
※上のグラフは舞台探訪関連のキーワードを含むツイートを投稿日単位で集計したもの。(検索条件は頁末)
※青線が探訪関連のツイート全体数、橙色線がその7日間の移動平均。灰色線の「探訪作品ツイート数」は、例えば宗教的な「聖地巡礼」等の目的外のデータを排除するため、舞台探訪アーカイブ Wiki*から抽出した舞台探訪作品の一覧の作品名(略称含む)が含まれているツイートを抜き出した数であり、黄色線はその移動平均。
11/21のピークは、11/21~23にシーズン唯一の三連休があるため不自然ではありませんが、分析してみると後で書くように特定の事情があります。
全体的には右下がりのゆるやかな下降傾向ですが、これは季節要因(気温の低下)なのか、あるいは新型コロナの感染者数増加に伴うものなのか、現時点で要因は不明です。ここらへんの分析には年単位のデータが必要で、今後の課題ですね。
次に、作品別にツイート数の累計の推移を見てみます。
これは、2020年秋シーズン期間中の、舞台探訪関連キーワードと作品名を含むツイート数を作品別に累計をとり、上位の10作品の推移をグラフ化したものです。
※機械的な検索のため、実際に現地に行かなくても、作品名と「舞台」等を含むツイートを全て収集しています。
※各週は月曜日開始の7日間で集計 ※9/28の週は10/1~4まで4日間、12/28の週は12/28~31までの4日間のデータ
ツイート1位はダントツで『神様になった日』でした。それも、これまでの集計では各作品に言及するツイート数はシーズン中に30~40というレベルでしたが、『神様になった日』は何と159ツイートと通常の約4倍にもなるツイート数を記録しています。これは明らかに「異常値」と言えます。
この「異常値」が伸びた一因は、11月下旬からのツイート数の急激な上昇です。この原因は…、
【山梨市とのタイアップ決定!】
— 神様になった日&Charlotte&AB!公式アカウント (@kamisama_Ch_AB) 2020年11月21日
「神様になった日」の舞台である山梨市とのタイアップが決定しました!
そして本日から山梨市にて舞台探訪キャンペーン実施!
是非「神様になった日」の世界観をお楽しみください!
▼舞台探訪マップ&その他詳細はこちらhttps://t.co/UkEGPXkO2y#神様になった日 pic.twitter.com/ym37ssdiyn
\✨神様になった日×山梨市✨/
— 山梨市観光協会 (@yamanashikanko) 2020年11月21日
ついにこの日がキターー‼️‼️
TVアニメ『神様になった日』と舞台の『山梨市』がタイアップキャンペーンを開催します😆🗝
聖地を巡りココでしか手に入らない待受画像をGET‼️‼️
詳細はhttps://t.co/M997nnLfyV#神様になった日#山梨市が神様になった日の舞台になった日 pic.twitter.com/Pk1G7CU3l2
はい、11/22に『神様になった日』と舞台になった山梨市とのタイアップが発表されたからですね。(ちなみに、「舞台探訪キャンペーン」と、公式が「聖地巡礼」の方でなく「舞台探訪」という用語を使うのは珍しい事例と言えます)
さらに実態を把握するために、今度はツイート数ではなく、ツイートしたアカウントの累積を集計してみたのが下図です。
上のグラフでは、あるアカウントがその作品名を最初につぶやいた1回のみをカウントし、2回目以降をカウントしないようにしています。つまり、「言及したアカウント数の伸び方」を見ています。
このアカウント数ベースで見ても『神様になった日』はダントツの1位で、ファンの間で広く言及されたことが分かります。探訪界で今期一番の話題作だったことは間違いありません。
『神様になった日』公式の発表を見て、一部コアなファンの中には「公式がタイアップを始めるまでの方が楽しかった」という意見もありましたが、それはそれとしても、この集計結果からすると、一般のファンにとっては公式発表が認知度アップに大きく貢献しており、その後も新規に言及するファンが広がっていることが分かります。
実は、2位の『おちこぼれフルーツタルト』(以下『おちフル』)も、
小金井市コラボが決定です🎉
— おちこぼれフルーツタルト公式アカウント (@ochifuru_anime) 2020年9月11日
小金井市内限定のポスターが市内各所で掲出!
また10月から来年1月にかけ市内各所にキャラクターパネルが設置🍓
さらに対象のお店でお買い物等をした方に特典として限定ポストカードをプレゼントいたします✨
ぜひ遊びに来てくださいね🎶#ochifuru pic.twitter.com/eWiR5ZWypk
3位の『響け!ユーフォニアム』(以下『ユーフォ』)も、
【公式サイト更新】
— アニメ「響け!ユーフォニアム」公式 (@anime_eupho) 2020年12月9日
●宇治市×「響け!ユーフォニアム」 宇治ウィンターフェスタ開催決定!https://t.co/I7lxc7fTx7 #anime_eupho
4位の『ラブライブ!』はもちろん以前から地方自治体とコラボしてましたし、5位の『ゆるキャン△』も、やまなし観光推進機構とのコラボを実施していました。
『週末も山梨にいます。ゆるキャンペーン△』の一環として、『山梨宿キャン△コラボ』が開催!!
— TVアニメ『ゆるキャン△』シリーズ公式 (@yurucamp_anime) 2020年11月16日
コラボ期間中山梨県内のグリーン・ゾーン認証済み対象施設に宿泊された合計6,000名様にブックカバーをプレゼント🎁
第一弾は原作コミック1巻初版帯仕様ブックカバー✨https://t.co/bYTsriu1La#ゆるキャン pic.twitter.com/gd5jdCpsgD
そんな地元コラボが目白押しだった今期ですが、その中でも『神様になった日』のツイートの伸び率がダントツだったのは、作品の注目度がずば抜けて高かったことの反映と見て良いでしょう。
ここで、ツイート数とアカウント数の順位を比較してみると…、
ジワジワとアカウント数の順位を上げている『ゆるキャン△』が印象的です。『神様になった日』も山梨市とのコラボでしたし、今期は山梨勢が健闘したと言えるでしょう。
北海道観光振興機構とコラボした『ゴールデンカムイ』(以下『金カム)』は、シーズン始めはトップクラスの勢いがありましたが、北海道の季節要因や新型コロナの影響が出たためか、後半に伸び悩みが見られました。
『おちこぼれフルーツタルト』(以下『おちフル』)と『ラブライブ!』はツイート数に対してアカウント数が少なめですが、逆に言えばそれだけコアなファンによって支えられていると言えそうです。
次に、その「コアなファン」層の分布状況を分析してみます。
鬼が棲む作品はどれだ?
各作品にどれだけコアなファンがいるか、それを表すために下記のようなグラフを作ってみました。
「ツイート半数を占めるアカウント率」(もうちょっと良い言い方はないものか?)とは、その作品に言及したツイートの半数が、全アカウントのうち何%のアカウントによって発信されたかを示す率で、上からツイート数順です。
例えば、このグラフの中の『神様になった日』について、
- シーズン中に全部で74アカウントが合計169ツイート(このツイート数は全作品中1位)した
- そのうち半数の85ツイートは、たったの5つのアカウント(!)から発信された
- 全74アカウントのうち5アカウントのため、5÷74=6.8%のアカウントが半数のツイートを占めている
ということを示しており、つまり『神様になった日』は秋シーズンで一番アクティブなファンが活動した、いわば「鬼が棲むジャンル」だった、ということが分かるわけです。
その他、『おちフル』,『ラブライブ!』,『青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない 』もコアなファンが活動していることが見てとれ、それに比べるとツイート数もアカウント数も多めな『金カム』や『ゆるキャン△』は幅広いファンが比較的ゆるやかな探訪活動を行った、と言えるでしょう。
同様に、リツイートの半数を占めるアカウント率を見てみます。(上からリツイート数順)
ここでは(予想されたことですが)、さらにアカウントの寡占率が進み、『神様になった日』で見ると、
- シーズン中に全部で74アカウントが合計3,853リツイート(このリツイート数は全作品中1位)された
- そのうち半数の1,927リツイートは、たったの2つのアカウントからリツイートされた
- 全74アカウントのうち2アカウントのため、2÷74=2.7%のアカウントが半数のリツイートを占めている
ということが分かります。
それではその2アカウントが何かというと、リツイート数1位は神様になった日&Charlotte&AB!公式アカウントで当然といったところなんですが、2位はなんと個人の探訪者でした。
3位の山梨市観光協会をしのいで2位に入るような、発信力と拡散力を兼ね備えた探訪者がいたこともまた、『神様になった日』が今期の探訪界において異例の独走を果たした一因と言えるでしょう。
以上、ツイートデータで見る2020年秋シーズンの探訪活動状況でした。
2021年1月現在、新型コロナの状況は予断を許さないものがありますが、管理人は今年は舞台探訪の未来が明るくなることを祈ってやみません。
今回のデータ収集方法について
今回のツイートの検索・収集条件は下記の通りです。
- 舞台探訪関連ツイートデータの検索キーワードは、"舞台探訪" OR "#butaitanbou" OR "聖地巡" OR "舞台巡" OR "舞台めぐり" OR "聖地めぐり" OR "モデル地めぐり" OR "モデル地巡り" OR "聖地探訪"
- リツイートは検索しない(Twitterの検索設定は"-filter:retweets")
- 引用ツイートは集計結果から除外
- Botは集計結果から外す(同一ユーザーIDで3つ以上の重複ツイートがあるとBotと判断)
- 次の作品は他の単語と混同の可能性があるため除外する→『ハル』,『ef』,『インフィニット・ストラトス』の略称の『IS』,『ペルソナ4』の略称の『P4』,『アクセル・ワールド』の略称の『AW』
- 次の単語を含むものはプロモーションと判別して除外する「舞台めぐりコラボ企画」,「【キャンペーン情報】」
- 週1回定期的に検索(後からジワジワ伸びるRT数はカウント出来ない)