仮想と現実の真ん中あたり

主に舞台探訪とか聖地巡礼と呼ばれる記録をつづるブログ

「銀翼のファム」第17話感想:ちっちゃなヴェスパとディアンの葛藤

いきなり後ろからディアンに抱きつくファム、そんな二人を顔を赤らめて見るマグノーリヤ。ついにディアンをめぐる争いが勃発!? ちっちゃくても(何が?)負けるな、ファム!
…たしかそんな話だったよな、と振り返る管理人がメモがわりにつづる、「銀翼のファム」第17話の感想です。
※以下、ネタバレを含むため、たたんでおきます。


■小っちゃくたってがんばる
『あんなちっぽけなヴァンシップに…』
今週の注目ポイントその1は、ディアンのこのセリフ。そう、ファムのヴァンシップ・“ヴェスパ”は小さい。
前作「ラスエグ」で主人公クラウスが高性能なヴァンシップに乗り換えたのとは対照的に、ファムはずっと小さなヴェスパに乗り続けている。
「ラスエグ」で描かれたのは、「守るための強さ」。けれども、それは一方で「武力・暴力」とも隣り合わせの危うさを持っていた。
ところが、「ファム」では一貫して暴力の矛盾が描かれる。ためらわずに暴力を使うのは、主にルスキニアの役だ。
「作り手目線」から「受け手目線」への転換とも言って良いだろう。視聴者が暮らす現実世界では、力づくでの解決が良い結果を生むシーンはめったにない。


だから、ファムは小さなヴェスパに乗って飛び続ける。小さなヴェスパで、神の名を唱えながらトリガーを引くディアンの行く手を阻み、正義の名の下に戦いを続けるヴァサントから距離を置く。そして、ついにディアンの軍用ヴァンシップを振り切って、その小さな手で停戦を掴み取る。
小さくたって、無力じゃない。小さいからといって、暴力には頼らない。きっと、ファムの小さなヴェスパの姿には、そんな思いが込められている。


■ディアンの葛藤
『そんなことわかってる!』
今週の注目ポイントその2は、またもやディアンのこのセリフ。
「ラスエグ」ラストの脚本では、復讐で物語を終わらせた千明監督。その千明監督が「ファム」初の脚本で描いたのは、復讐心と葛藤するディアンの姿だった。
葛藤の末、ディアンは復讐心を押し殺して第一艦隊の攻撃を選ぶ。(しかし、彼女の心の傷が戦いを捨てる事までは許さなかった)
そして、ラストは停戦の場面と、そして少女の笑顔で締める。
一体、「ラスエグ」から「ファム」に至るまでに何があったのか?、と思わず色々想像をめぐらせてしまうほど見事なストーリーの転換と飛躍。
この先どこまで見せてくれるのか? クライマックスに向けて興味が尽きない。