「ARIA」舞台探訪 Neo-Venezia編(速報版)
先のGWを利用して、天野こずえ先生のマンガ「ARIA」の舞台、Neo-Veneziaへ行って来ました!
実は、プライベートでの海外旅行は初体験だったりするのですが、今回は、たちきちさんという強力なガイド役に恵まれたおかげもあっての決行でした。
今回は直前まで「咲-Saki-」舞台関係で色々あって資料が用意出来なかったため、事前資料と現地の案内については、同行のたちきちさんにおまかせしっぱなしでした。感謝です!
速報版のため、舞台探訪メインでなく、普通の旅行記風味も交えてまとめてみたいと思います。
('11.02.06 追記)
たちきちさんの「ARIA」舞台情報のまとめサイトが完成しました。舞台からヴェネツィアの旅行情報まで詳しく紹介されています。ぜひご覧になってみて下さい!
→ARIA the Navigation
■ Neo-Venezia 初日 「その 見覚えのある橋は…」
5月1日の朝に成田を立ち、ウィーン経由で“マルコ・ポーロ国際宇宙港”へ現地の夕方頃に到着。
ホテルが本土側のメストレ地区のため、バスの運ちゃんに「メストレ駅に行くか?」と聞いたら「そうだ」というので乗り込む。
そして、しばらく乗っているといくつかの停留所に止まるけれども、なかなか"Mestre"という単語が聞こえて来ない。そこでずっと乗り続けていると、いつの間にか海の上の道を走っている。
…海の上? はて? メストレは本土側で海は渡らなかったはずだが…?、と思っているうちに終点に着いたようなので降りる。
えーと、ここは…?、と見渡すと、目の前に見覚えのある橋がある。
バッグの中から持ってきたキャプチャファイルを引っ張り出して見ると…、
スカルツィ橋(写真は実際には翌朝) | アニメ第3話 |
おお、これは、アニメ版で灯里ちゃんが漕いでいたスカルツィ橋! という事は、ここは既にヴェネツィア本島ではないか!
…一体、なぜ私はヴェネツィアにいるのだろう?
つーか、ヴェネツィアに来てアニメのキャプチャを見て現在地を確認する旅行者って、自分ぐらいなものでは?(笑)
ともあれ、サンタ・ルチア駅から電車に乗り、本土側に戻る形でメストレ駅へ。Webで調べたホテルには「新しい駅から500m」と書かれていたのだけど、その駅の名前がわからない。
仕方なく、結局この日は、タクシーで地図を見せてホテルへ直行したのでした。
■ Neo-Venezia 2日目 「その 思いがけない出来事は…」
翌朝、ホテルのフロントで聞いてみると、最寄り駅は3km先のメストレ駅だという。何でやねん?(後で調べたら、本当は近くに小さな駅があったらしい)
バスの路線を聞いて停留所に行ってみたけど、路線図を見てもどこにも"Mestre"と書いてない。う〜む? 結局、フロントでタクシーを呼んでもらい、メストレ駅から電車に乗り換えてヴェネツィアへ。
この、少しずつ近づいて来る感じが、何とも言えないですわ〜。
そして…、
着きました、ネオ・ヴェネツィア〜!(予定外で2回目だけど)
このサンタ・ルチア駅前で同行のたちきちさんと合流。そして、いよいよネオ・ヴェネツィア探訪の開始。
まず目指すのは、「世界で一番美しい広場」と呼ばれる、サン・マルコ広場です。
二日目のGPSログ(クリックで大きな地図へ) |
そして、…ついに来ました、サン・マルコ広場!
ドゥカーレ宮殿前 | 「Cielo」から |
そこは、まさしく「ARIA」の舞台!
混まないうちに鐘楼へ上ってみることに。すると…、
鐘楼の上から | 第10巻 P106-P107 |
まさか、「咲-Saki-」の小林立先生以外に、天野こずえ先生まで魚眼レンズを使ってらっしゃるとは思ってもみなかったよ!
そしてこの鐘楼は…、
鐘楼内 | 「GUNSLINGER GIRL」第11巻 P99 |
ちなみに、エレベーター入り口横の「禁止マーク」は禁煙マークではなく、「落書き禁止」でしたw
鐘楼を出た後は、サン・マルコ広場を中心に探訪。
サン・マルコ広場内 | 第11巻 表紙 |
サン・マルコ広場付近の探索が一段落したら、「ARIA」にも登場した「カフェ・フローリアン」で一休み。
向こう側がたちきちさんの『元祖カフェラテ』、手前が私のチョコレート。
お茶を飲みながら流れて来る生演奏の音楽に耳を傾けていると、とても心地良くその場の雰囲気につつまれて、何ともまったりした気分になって来ます。
ヴェネツィアは移動手段が船と徒歩のみで、車や自転車さえも禁止のため、そこにいるうちに自然とテンポがゆっくりになって来るんですよね。
私「いやぁ、いいですね〜」
たちきち「もう、日本に帰りたくないですね〜」
私「このまま、太陽と一緒に移動しながら一日中でもいたいですね〜」
たちきち「全てがどうでも良くなって来る…」
この瞬間、我々はたしかに灯里ちゃんの「素敵空間」の中にいたのでありました。
そんなわけで、素敵空間に捕らわれているうちに時間は過ぎ去って、夕方にはサンタ・ルチア駅でたちきちさんと一旦解散。
ローマ広場からバスに乗ろうとしてホテルの近くのバス停の名前を言ったら、「そんなバス停知らん」と言われてしまったので、再びサンタ・ルチア駅に戻って電車でメストレ駅へ。
駅前のバス路線図で調べてみると、ホテル近くのバス停は"H2"という路線らしい。ガイドブックを見ると「イタリアのバスは乗る前に売り場でチケットを買う」と書いてあった(結局これが合って無かった)ので売り場を探してみたのだが、これが無い。
反対側に止まっているバスが目についたので、そこへ行って運転手のおっちゃんに聞いてみることにした。
私「チケット売り場はどこですか?」
運ちゃん「どこまで行くんだ?」
私「いや、まずチケットを買いたいんだけど?」
運ちゃん「(困ったように) だから、どこへ行くんだい?」
私「(地図を見せて) ここなんだけど」
運ちゃん「オーケー、分かった。乗れ。このバスがそうだ」
私「(えー?、これ、反対側の路線じゃなかったっけ?) ありがとう。えーと、チケット持ってないんだけど…?」
運ちゃん「2ユーロだ。(と言ってチケットを袋から取り出す)」
私「(バスの中で売ってるのか!) ありがとう、じゃ、これで」
そして、やがて走り出したバスに揺られること、15分程度。結局、ホテルのバス停には着かないまま、終点らしき病院に着いてしまった。
そしたら、乗客が全部降りた後、バスの運ちゃんが降りて来て、笑顔で話しかけて来た。
運ちゃん「数分待ってなさい。心配するな、オマエは俺がちゃんと連れてってやる」
私「ありがとう。頼りにしてるよ」
何となく予想はしてたのだけど、本当は環状線のバスの帰り方向の停留所なのに、わざわざ行き方向から乗せてくれたというわけ(しかも片道料金で)。
そしたら、想像通り、数分後に発車したバスは帰りとは別の路線を通って、ホテルの前で私を降ろしてくれた。しかも、バス停でなく、ホテルの玄関前で。
降りてから"Thank you very mach!"と大声で言って大きく手を振ると、バスの運ちゃんは笑って手を振り返してくれた。
「旅先の印象は、そこで出会った人に大きく左右される」って言うけど、この時は本当にその通りだなぁ、と実感。
イタリアってWebで調べてみると『治安が良くない』とか『ボッタクリが多い』とか書かれていて、行く前は良い印象を持ってなかったのだけど、この思いがけない出来事で、すっかりイタリアが好きになってしまいました。
この場を借りてもう一度、"Thank you very mach. And I had a very nice trip on your kindness!"
■ Neo-Venezia 3日目 「その 海洋国家の興亡は…」
3日目朝、ようやくバスの路線図が解読出来た。そうか、路線図の"Stazione"って『駅』のことか! "Mestre"って書いてあるんじゃなかったのか! つーか、"Stazione"の横にしっかり電車のマークが書いてありました、ハイ orz
そんなわけで、3日目にして初めてスムーズにホテルから移動、サンタ・ルチア駅でたちきちさんと再会。
三日目のGPSログ(クリックで大きな地図へ) |
たちきちさんの完璧なナビゲートのおかげで、昨日のうちに中心部の舞台をほぼ回れたので、この日は周辺部を探訪。
元々のコンセプトが「せっかくなので観光メインで、キャプ回収はほどほどに」のため、有名な観光名所を回るこの日は、ほとんど観光気分。
とはいえ、次々と現れる「AIRA」の舞台が、気分を「素敵に」盛り上げてくれる事は言うまでもなく。
アルセナーレ | 第5巻 表紙 |
海洋史博物館 |
リアルト橋 | 第5巻 P108-P109 |
マルコポーロ生家前 | 「Cielo」から |
そしてこの日も1日中歩き回った後、ずっと同行いただいたたちきちさんと、メストレ駅前で夕方に別れたのでありました。
ヴェネツィアは中世に海洋都市国家として長く栄えた後、台頭して来た“異形の大国”トルコ帝国との地中海の覇権争いに消耗し、最後には「この国は古すぎる。これ以上、存続を許すべきではない」と断じたナポレオンの前に降伏し、独立国としての歴史の舞台から姿を消しました。
ヴェネツィアの地に立ち、この海洋国家の興亡に思いをはせ、変化する時代の中で繁栄を続ける事の難しさについて考えさせられたのは、貴重な経験だったと思います。
以上、駆け足でお伝えした、「ARIA」Neo-Venezia探訪記(速報版)でした。
今回、名水先案内人っぷりでナビゲートしていただいた、たちきちさんに改めて感謝いたします。どうもありがとうございました! また、今回の探訪の成果は、後日たちきちさんのサイトで紹介されるはずなので、詳しくはそちらでどうぞ。新しい発見がいくつもあったそうなので(事前調査してないため自分はどれが新発見かもわかりません^^;)、請う御期待です。
本記事内の「ARIA」の画像の著作権は、天野こずえ先生、およびマッグガーデン/ARIAカンパニーにあり、ここでは当該作品の比較研究を目的として引用しています。
なお、ヴェネツィアの歴史については、塩野七生先生の「海の都の物語」を参考・引用させていただきました。